アジサイ(紫陽花)の毒性

アジサイ(紫陽花)の毒性

2008年に複数の人がアジサイの葉を食べたことが原因による食中毒が発生しました。嘔吐や顔が赤くなるなどの症状が出ましたが、その後は順調に回復し重篤な症状に陥った人はいませんでした。これを契機にアジサイの毒性分について調べられました。その結果…毒性の原因物質は特定できませんでした。少なくとも古くから言われてきた青酸配糖体は検出されず、旧来の説は間違っていたことになります。

とは言え、食中毒が発生したことは事実で食用には使えないことは間違いありません。触ることの危険性はほとんどありませんが、通常の植物と同じように樹液に直接触れた場合やアレルギー体質の人は「かぶれる」可能性はあります。

上の写真はガクアジサイ 城ケ崎。葉に注目すると大葉をさらに大きく厚く立派にしたような形で確かにお刺身のあしらいに使ってもよさそうな形です。2008年の事故以来、あえてそうする料理人はいないと思います。

但し、アジサイの内、ヤマアジサイの一部は甘茶として利用されていますが、アマチャ(甘茶)は無毒・無害なのが証明されています。同じアジサイでも少しずつ異なるのです。尤もヤマアジサイはアジサイやガクアジサイとは葉の形や茎、葉柄の色など異なった特徴がありますから見分けるのは難しくはありません。(交雑・交配種除く)

アマチャ(甘茶)はヤマアジサイの一種。アマチャという種類ではなくヤマアジサイの甘みの強い系統がアマチャとして栽培されています。特徴は葉が薄くまた葉柄、茎が赤紫っぽい点です。更に葉の葉脈まで赤っぽくなるものも少なくありません。(但し写真はヤマアジサイ 

甘茶は古くから飲用されていますから所謂毒性はありません。但し濃すぎる甘茶で嘔吐するという事例が発生しており、甘茶に出すときに濃くならないように注意する必要があります。これは毒性ではなく、何でも加減が必要ということです。

アマチャと名前が付くのはアマチャ、コアマチャ、アマギアマチャ、ヤエノアマチャなどがあり、栽培品種では他のヤマアジサイとの交配を経た品種の可能性もあります。甘み成分はフィロズルチン、イソフィロズルチンですが、生葉には少なく葉を乾燥させることで多くすることが出来ます。お茶に加工するのはこの特徴を良く生かしているのです。なおアマギアマチャは生葉もある程度の甘みがあるとのことです。

甘茶の一種、屋久島甘茶。全体的な株を見てもガクアジサイやアジサイとは少し異なります。やはり葉が薄く、鋸歯が小さく、やや縦長なので花がないと全く別の種類のようにも感じられます。

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アジサイ(紫陽花)の毒性

→写真の紫陽花園